三具足・五具足
仏さまには香・灯明・花をお供えします。
具足とは、お仏壇の中で最も基本となるお仏具で、前卓の上におきます。
お香をたく香炉(こうろ)、蝋燭(ろうそく)をともす燭台(しょくだい)、お花をたてる花瓶(かひん)のそれぞれ各一基づつを総称して、三具足といいます。ご本尊を三具足でお荘厳すれば、それでお内仏となります。
燭台と花瓶が増えて一対ずつとなった場合は、五具足といいます。
現在でも、床の間に香炉を置き、花を飾る習慣はこの「三具足飾り」の名残といわれています。
三具足は、前卓の上へ、香炉を中心に燭台を向かって右、花瓶を左に置きます。
五具足は、香炉を中心に左右に燭台、その外側に花瓶を置きます。
足が三本の場合、正面手前に一本の足がくるようにおまつりします。香炉、燭台、花立それぞれよく確かめて設置してください。
お線香の供え方
お線香は何本立てるのが本当ですか、とよく訊ねられます。
実は、それぞれに意味があるので、その意味を理解して立てられるのがいいと思います。
これはお焼香の回数とも同様で、一本(一回)の場合、一心不乱に真心を込めることを表わします。ですので何本にしたらいいか迷われた時は、一本で事足りるわけです。
二本(二回)の場合、戒香(戒律)と定香(禅定)を表わします。わかりやすく言えば身と心を清めるということになります。
三本(三回)は三毒煩悩を焼き尽くすという意味になります。つまり貪欲(むさぼり)・瞋恚(怒り)・愚痴(おろかさ)を清め焼くということです。また、三世(過去・現在・未来)の諸仏に捧げるという意もあります。
香炉の灰は八分目くらいまで入れて、常に掃除をして線香の燃え残りを取り除き、灰をほぐしておきます。
灯明
灯明は、仏の智慧を表わすそうです。燭台にロウが付着している場合は、燭台を傷めないようにはがします。ロウ受け(火皿)をきれいにしておきます。
灯を消す時は、息を吹きかけてはいけません。
仏花
撮影 圓應寺副住職 三木英信
仏さまは花の香りをお悦びになるそうです。造花ではなく、生花をお供えします。
花は仏の慈悲を表わします。
蝋燭の炎の形をイメージして、一番長いものを中心に三段くらいに生けます。全体の大きさは花立ての2~3倍をイメージして生けます。
毒々しい花、嫌な臭いのある花、棘のある花はなるだけ避けますが、故人が好きであった花であれば、お供えしても構いません。
樒は棘がありますが、極楽に咲く青蓮華の代用として供えられることがあります。
それから、お亡くなりになってすぐから満中陰までは赤系統の花はできれば遠慮したほうがいいそうです。
花立ての水は毎日入れ替えるように心がけます。
仏さまにお供えするのに、なぜ私たちの方を向けて花を生けるのでしょう。それは、私たちの心を清め、感性を豊かにしてもらうためだそうです。それから少しづつ花が開き、散っていく姿を現わして、私たちに諸行無常を悟らせてくれるそうです。